2020年06月03日
フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)を実践するためには、有料相談が必要であると考えます。
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こんにちは。
「お金の相談ホットライン」ファイナンシャルプランナーの永井です。
今日はフィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)についてお話しようと思います。
◆フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)とは
普段あまり耳にする言葉ではありませんが、金融機関に勤めている人は必ず知っている言葉です。平成29年に金融庁から提言された「顧客本位の業務運営に関する原則」によって、この言葉が金融機関内で拡がりました。まだまだ世間一般には拡がっていないと思いますが、その理由の一つは発音しにくい事もありそうです。私も当初はなかなか覚える事ができませんでした。
◆金融機関が金融商品購入者に果たすべき義務
フィデューシャリー・デューティーをわかりやすく言うと、「金融機関が金融商品購入者に果たすべき義務」となります。さらにわかりやすく言うと、「お金のプロとして、お客様にとって本当にベストな商品を提案しましょう。」と言う事です。
◆金融機関も利益を優先する
「え?」と思われる方多いかと思います。
「銀行や保険会社や証券会社はお客様にとってベストな提案をしてくれていなかったの?」と戸惑われるかと思います。平成29年に金融庁からあらためてこのような提言が出たという事は、お客様の立場に立った提案をしていない金融機関が多かったと言う事になると思います。
最近ではかんぽ生命で法令・社内規定違反が疑われる契約が1万3,000件近く確認されたと言ったニュースがありましたよね。私も元銀行員ではありますが、独立するまではお客様の立場に立ってベストな提案をする事は簡単ではありませんでした。まず、根本的に儲けの仕組みの問題があります。銀行はお客様へ貸付をする事や投資信託、保険を販売する事で利益を得ています。証券会社は当然仲介手数料によって、保険会社は保険販売手数料によって儲けています。
しかし、そうである限り、本当にベストな提案はし辛くなってしまうのです。
◆お客様より大切なビジネスの繋がり
住宅ローンの場合で考えてみて下さい。
お客様がマイホームを購入しようと不動産会社へ相談に行きます。
良い物件が見つかり不動産会社の営業マンから銀行を紹介してもらい、銀行員に「この物件を買っても大丈夫でしょうか?ちゃんと返せるでしょうか?」と相談したとしても、「審査が通れば大丈夫ですよ。返済できますよ。銀行も融資したお金を返してもらわないと困るので、返せないような方の場合は審査が通らないようになっています。」と言われるだけでしょう。
銀行は融資をして利益を得ていますし、不動産会社から紹介してもらっている訳ですから、「審査が通ったとしても、ライフプランから判断してこの物件は買わない方がいいですよ。予算はあと500万下げた方が老後の予備資金が準備できるのでお勧めします。」とは言えない訳です。
◆公平公正なご提案のために
本当の意味でお客様の立場に立った提案をするには、私は有料相談しかないと考えています。それも、相談料だけでファイナンシャルプランナーが食べて行ける値段設定でなければならないと思います。
そして、ライフプランシミュレーションの作成が必須です。
お客様のライフプランシミュレーションがわからない状態では、お客様の立場に立って計画を立てることができないからです。私がいつも心掛けている事は、ライフプランシミュレーションをしっかりと作成し、私がお客様のライフプランだとしたら、どのような金融商品(住宅ローン、保険、投資)を選択するか?を考え、提案する事です。年収や家族構成だけで判断できるものではありません。
千件以上のライフプランシミュレーションを作成しましたが、生活レベルはご家族それぞれで全く異なります。世帯年収と貯蓄額は全く比例しません。収入が高い方でも全く貯蓄が無い方もいらっしゃれば、収入が低くとも貯蓄をされている方はいらっしゃいます。生活費はいくらでも上がってしまう世の中なので、そう言った点も確認しなければ、本当にお客様の立場に立つことはできないのです。
私は銀行も有料相談でお金の相談をするべきだと考えます。
そうする事で本当にお客様に喜んでもらえる提案ができ、顧客満足度は上がると考えています。